サイト改善を中心としたSEOのフロー
外部リンク依存型のSEOは費用対効果が低下し、サイト改善を中心としたより本質的なSEOが求められるようになってきた。(※1)
しかしサイト改善を中心としたSEOの具体的な方法論やフロー等の情報・ノウハウは業界内に極端に少ないため、どの様に行なっていけば良いのかが分からない方も多いだろう。自社内でSEOを試行錯誤し様々なナレッジを蓄積している企業も多いが、インハウスSEOに取り組もうと考えている全ての企業がそのレベルまで至るのは困難だ。
今回は筆者が考えるサイト改善を中心としたSEOのフローを記載する。
※1 過去記事参照:検索エンジンからのトラフィック構造を把握する
フェーズ | 項目 | 内容 |
---|---|---|
1 | 現状把握 |
•サイトのディレクトリ構造、リンク構造、インデックス数の内訳等を明確化 •各ページで上位表示を狙うキーワードを明確化 •KPIの具体的な指標を明確化 |
2 | システムや環境面のボトルネックを探す |
•クローラビリティの調査 •コンテンツの調査 •システムの調査 |
3 | 資産を探す |
•社内web資産を探す •社外web資産を探す |
4 | コンテンツの追加 |
•市場で検索されているキーワードをグルーピングし、不足分をサイト追加 •公開可能なコンテンツをサイトに追加 •blog等の情報発信構造をサイト内に設置 |
随時 | KPIに沿った効果測定 |
•キーワードの順位分布 •流入キーワード総数、LP数 •オーガニック検索からの訪問者数、CV等 |
随時 | 外部リンクビルディング | ・webサイトにあった外部リンクビルディングを行う |
1)現状把握~ボトルネックの改善
筆者の経験上、比較的大規模なサイトはシステム面や環境面で何かしらのボトルネックが存在する可能性が極めて高い。それは例えばDBとの連結部分の速度が異常に遅かったり、CGMで無駄なコンテンツが膨大な数生成されていたり、動的なコンテンツにユニークなURLを付与していなかったり、ディレクトリ構造が複雑で内部リンクが適切にサイト下層まで行き渡っていなかったりと、様々な要因がある。これらがwebサイトにとって致命的な問題点となっている場合は多々ある。
よって上記のフローでは、現状把握を終え、KPIを明確化した後にまずは最も改善のインパクトが高いと思われるサイトのボトルネックを探し、可能は範囲で改善する。
2)自社内外のweb資産を探す
次のフェーズでは社内や社外でのWEB的な資産を探す。具体的には自社が保有している別メディアからグループリングを付けることができないか、また親会社等の関係会社からグループリングを得ることが出来ないかを考える。それらのリンクは比較的容易に手に入れることができ、そしてナチュラルリンクの中でも価値の高い部類に入るためだ。
3)コンテンツを追加する
その次のフェーズにてやっとコンテンツの追加を考える。理由としてコンテンツ追加は手間とコストが掛かるし、中長期的な継続が前提にある施策だからだ。またこの際にはただ単純にコンテンツを追加するのではなく、市場で検索されているワードからマーケットイン的にコンテンツを企画したり、可能な限り希少性の高いコンテンツを企画したりする。社内に眠っている公開可能なコンテンツを探してみても良いだろう。
4)KPIに沿った効果測定を行う
効果測定は定期的に行う必要がある。(特に何かしらの施策を行った後はデータを注視する。)ここでは予め設定したKPIにしたがってデータを見ること。例えばサイト改善を中心としたSEOの場合、単体キーワードの順位ではなく、オーガニック検索からのトラフィック、webサイトへの流入キーワード総数やLPの総数、主要ワード群の順位分布などに変化があらわれる。もしそれらをKPIと設定していないのであれば、適切に効果測定することが出来ない。
5)外部リンクビルディングを行う
外部リンクビルディングに関しては、SEOを行うwebサイトに合った方法を考え随時行なっていく必要がある。それには例えばウェブマスターツールからナチュラルリンクの増加率を調べて、どのような傾向のリンクが多いのかを分析したり、webサイトの属する業界の中で話題になっている事柄(またはニュース)などに言及したコンテンツをサイトに追加したりする必要がある。その場合コンテンツを発信するディレクトリのソーシャライズ化は必須だろう。
本質的なSEOは全てのwebサイトに共通する普遍的な部分もあるが(サイト構造や技術的な部分など)、一方自社業種ならではの強みを生かしたマーケティングを行わなければならない部分も存在する。(コンテンツ追加や外部リンクビルディング等)
そのため最も高くパフォーマンスを挙げるためには、自社のサービスや顧客、市場などを理解する必要があり、SEO業者では行えない範囲も大きいだろう。
普遍的な部分はSEO業者からノウハウを得て、マーケティング的な部分は自社で行えるようになるのが望ましいのではないだろうか。