スマートフォンからの訪問者がメインストリームとなる日
近年スマートフォンからサイトにアクセスするユーザーが急増していることに気がついているwebマスターは多いだろう。今回はある特定のサイトにおけるスマートフォンからの訪問割合の推移を取得し、同様の推移が今後起こりえるか、また起こり得た場合どの程度の期間でPCからの訪問を超えメインストリームとなるのかを推測する。
調査にはサンプルデータとしてサイトA(BtoCのサービスサイト)のデータを利用する。当サイトは20~40代の男女がメインユーザー層であり、かつ比較的リピート頻度の高いサービスを提供している。(従来の通りデータは資料性を損なわない範囲で多少改変してある。)
まずはサイトAにおける、スマートフォンからの訪問割合(セッション単位)の推移を取得した。対象期間は2010/7/1~2012/5/1である。(データ取得はGAにて”モバイルからのトラフィック”と定義されているもの)
以下は、年毎の比較である。
2010年.2011年.2012年と顕著に割合が増加していることが分かるだろう。2010年では全体のアクセスに占める5.21%がスマートフォンであったものが、2011年には18.39%、2012年には31.85%であり、なんと1/3程度の訪問者がスマートフォン経由となっている。
但しサイトによって上記の割合は異なるだろう。参考までに比較的傾向の異なる他サイトで同様のデータを取得した所、以下のような結果となった。
サイト種別 | 2010年 | 2011年 | 2012年 |
---|---|---|---|
サイトA(BtoCサービスサイト) | 5.21% | 18.39% | 32.85% |
ポータルサイト | データなし | 22.93% | 28.10% |
BtoBサービスサイト | 0.52% | 1.10% | 1.40% |
地域性の高いBtoCサイト | データなし | 35.58% | 34.69% |
上記の通りBtoBサービスサイトでは大半の訪問者がPC経由であった。またBtoC関連のサービスサイトでは比較的サイトAと同様の訪問者割合になる可能性が高かった。サイトの特性によって、訪問者割合は変化する。管理しているwebサイトのスマートフォン訪問者割合は把握しておくべきだろう。
スマートフォンからのアクセスが増加している要因は、日本国内におけるスマートフォン普及率増加のためだろう。スマートフォン普及率は近年顕著に増加しており、2012年2月には23.6%に達している。※1
※1 株式会社ディーツーコミュニケーションズ スマートフォン普及動向調査
http://www.d2c.co.jp/news/2012/20120418-1340.html
以下、スマートフォンの普及率をサイト訪問割合と比較してみる。
参考までに[スマートフォンの普及率]と、サイトAの[スマートフォンからの訪問者割合]の相関程度を調べる。散布図は以下、相関係数(R)は0.99となり、極めて強い相関関係を示す。(※但し上記普及率に詳細なデータが見つからなかったため、散布図に用いたデータ個数は少ない。)
現在日本国内におけるスマートフォン普及率は23.6%であり、プロダクト・ライフサイクルでは成長期、ユーザーはアーリーマジョリティの段階である。まだまだ市場は広く、ここから更に普及率が高まっていくと推測される。それに伴い相関関係の極めて強い”サイトへのスマートフォン訪問割合”も同様に上昇していくだろう。サイトAにおける現在のスマートフォン訪問者割合の上昇率から今後の推移を単回帰分析にて推測すると、以下のようになる。
上記グラフでは、2013年2月にスマートフォンからの訪問者が50%を超え、PCを超えている。※但し単回帰分析の特性上、あくまで参考値とする。
前述した内容をまとめると、以下のようになる。
現在スマートフォンの普及率は23.6%であり、プロダクト・ライフサイクルでは成長期、キャズムを超えたアーリーマジョリティの段階である。ここから更に市場に広がっていく可能性は高い。特にスマートフォンの普及率は2011年から顕著な上昇を見せており、今後も更に高い上昇率となることが推測できる。(※1 野村総研は2015年頃には携帯電話契約件数の半数がスマートフォンになると予測している。)
またスマートフォンの普及率と、サイトへのスマートフォン訪問割合は極めて強い相関関係があり、前者が増加すれば、必然的に後者も増加する。
現在のサイトAに対するスマートフォン訪問割合から今後を推測すると、2013年2月には50%以上となり、PCを超える可能性が高い。サイトAではこの時期に(あるいはそれより早く)スマートフォンからアクセスがメインストリームとなっているのだ。サイトの訪問者のメインストリームがスマートフォンとなる日が、もうすぐそこまで迫ってきている。
※1 ITロードマップセミナー 2012 スマートデバイス最前線より http://www.nri.co.jp/publicity/mediaforum/2012/pdf/forum174_4.pdf
先日Googleはスマートフォンに最適化されたwebサイトの構築方法をオフィシャルブログで発表した。ここでは最も検索エンジンに認識されやすいスマートフォンサイトは、レスポンシブ・ウェブデザインを利用したサイトだと記載されている。レスポンシブ・ウェブデザインに対応するには初期構築コストが高くなるが、スマートフォンが今後のメインストリームとなる以上、最大限考慮すべきだろう。