勝手に「おおいた萌えおこしプロジェクト」を効果検証してみた
おおいた萌えおこしプロジェクト(おおいた18Lover’s) をご存知だろうか。 (名前から大体こんなものだろうと想像した方、恐らく大体そんなイメージで合っています。)
超絶にざっくり説明すると、大分県の”萌えキャラを使った町おこしキャンペーン”である。 平成23年の4月から開始されているので、時期から見てGWでの観光客増加を狙ったのだろう。(このせいで大分県は大痛県、なんて言われていたw)
詳細は以下から。
大分県の18市町村が美少女に!「おおいた萌えおこしプロジェクト」で町おこし
webを中心としてリアルでもキャンペーンが行われた。このようなキャンペーンがどの程度の効果を生むのか、ソーシャルなバズ発生事例として効果検証してみたい。バズの発生状況とSEO的な効果から、今後のwebマーケの参考になる可能性がある。
キャンペーンサイトはこちら。
対象サイト:おおいた萌えおこしプロジェクト(おおいた18Lover’s)
URL :http://moemore.jp/
なお検証項目は以下
1)どの程度バズが発生したか
2)どの程度実際の観光客増加に結びついている
3)seo的な効果はどの程度あったのか
4)当キャンペーンの結論
1)どの程度ソーシャルバズが発生したか
当キャンペーンでどの程度のソーシャルなバズが発生したのかを調査してみた。
具体的な数値は以下。
メディア | 項目 | 値 |
---|---|---|
公式(@moemoreMaster) | 1001フォロワー | |
ツイート数(moemore.jp) ※1 | 2531 | |
ツイート数(moemore.jp/index.html) | 3202 | |
ツイート数(www.moemore.jp) | 152 | |
ソーシャルブックマーク | hatena | 69user |
Yahoo | 2人 | |
いいね数(moemore.jp) ※2 | 110 | |
いいね数(moemore.jp/index.html) | 495 | |
いいね数(www.moemore.jp) | 110 | |
検索エンジン | フレーズ検索”おおいた萌えおこしプロジェクト” | 約99300件 |
完全一致での検索ボリューム | 下図を参照 | |
外部リンク | 356 |
※1 ツイート数についてはtospyのAPIより取得。Urlの正規化がされていなかったため、それぞれ調査
※2 「いいね」数に関してはfacebookのAPIから取得
ある程度の検索ボリュームも発生している。
萌えなんて今更珍しくねーよもはやコモディティだよ、なんて思っていたのですが、上記の通りかなりのバズが発生している模様。また当サイトはソーシャライズされていなかったため(共有ボタン等が無かった)、主に各プラットフォームのAPIを使ってデータを取得した。ソーシャルでのバズを狙っておきながら各snsでの共有ボタンを設置していないことで、恐らく大きく損失が発生しているだろう。
2)どの程度実際の観光客増加に結びついているか
大分県の観光客数(ここでは宿泊客数のデータを利用)を平成22年と23年で比較してみた。
キャンペーンが始まったのが4月後半、狙いは恐らく5月の連休だろう。4,5月に注目して比較データを見ても、目立った宿泊客増加は起きていない。むしろ若干低下している。
但しご存知平成23年の日本は3月に東北大震災や九州新幹線の全線開業があり、単純に前年度と比較して結果を出すことは出来ない。そのため大分県の近隣県(宮崎県,熊本県,福岡県,福岡県)の宿泊客数も調べた。平成23年4,5月の各県宿泊客数を前年度と比較してある。
県名 | 4月 | 5月 |
---|---|---|
大分県 | -7.60% | -4.70% |
宮崎県 | -8.18% | -8.15% |
熊本県 | +2.16% | -3.75% |
福岡県 | +0.60% | -3.11% |
長崎県 | -9.75% | -4.66% |
平均 | -3.79% | -4.92% |
資料:観光庁 宿泊旅行統計調査
※但し前出の大分データとは数値の取得定義が若干異なる。よって各県前年度比較数値に注目してもらいたい。
基本的にどの県も観光客数(宿泊客数)は低下していて、大分県との顕著な数値の違いは見られない。
近隣県との傾向に変化がないということは、大分萌えおこしプロジェクトは、ソーシャルなバズが発生し認知はされたが実際の観光客増加には繋がっていない、と考えられる。
3)seo的な効果はどの程度あったのか
ではネット上で発生したバズが、どの程度SEOに効果があったのか調べてみる。
項目 | 値 | |
---|---|---|
検索エンジン関連データ (2012/01/20現在) |
キーワード:萌え | 17位 |
キーワード:萌えキャラ | 圏外 | |
キーワード:萌えおこし | 1 | |
インデックス数 | 219 | |
ページランク | 3 | |
外部リンク ※1 | 356 | |
ドメイン取得日 | 2011/4/14 |
※1 seomozのoseから取得
ある程度ビッグキーワードである、”萌え”で17位(2012/01/20現在)にランクインしている。ドメインの登録年月はまだ浅いが、ページランクも3ついており、(ナチュラルな外部リンクの多さが分かる)当キャンペーンはSEO的に大きく効果があったのではないかと思える。既にキャンペーン開始から半年以上経過した現在でもこの順位であるということは、バズの発生により一時的ではなく、ある程度長期間・継続的にSEO的な効果を得ている、と考えらる。素晴らしいナチュラルリンクの例となるだろう。
4)当キャンペーンの結論
ネット上でバズは発生したが、それが実際の観光客増加までには至っていない。と言うことはネット上でのバズとリアルでの集客はまた別ものということだろう。(例えばリアルで集客したいのであれば、それなりのメリットを付加する必要があるのかもしれない。ネットでの認知だけではリアルなアクションのモチベーションには繋がりにくいのだ。)
但し目標をサイトの流入・認知、SEO対策とすれば、今回のキャンペーンはある程度効果が発生していると考えられる。
⇒もちろん掛かった予算が分からないので、費用対効果のほどは分からないが。。
バズを発生させナチュラルな外部リンクを集める、という観点からは良い事例になるのではないだろうか。萌えというのはある程度コモディティ化したイメージがあるが、まだまだ見せ方としては需要があるのかもしれない。