Googleが+を本気で流行らせようとしている理由
Googleが+を本気で流行らせようとしている目的は、ただ単純に時流であり将来性の高いソーシャルメディアという世界のシェアを奪いたいだけだと考えていたが、それは誤りだったかもしれない。
その考えの糸口は、11/8に更新されたinside adwords(※1)の中にあった。
※1 google adwordsのオフィシャルブログ
Google+ の完成形は、Google でのユーザー エクスペリエンスを変えること、つまり、アイデンティティと共有機能をすべての Google サービスに織り込むことです。
(引用終了)
上記Googleからの明確なメッセージを見た瞬間、Googleが+を流行らそうとしている本当の目的が見えた気がした。Googleはソーシャルメディアでのシェア獲得のみを目的としているのではなく、それを手段として更に高い到達地点を見ているのだ。
具体的には、Google+をハブ化することによりGoogle全てのプラットフォームを連動させ、そこからユーザーの嗜好や情報の信頼性をより積極的かつ横断的に把握し、Googleが提供する全ての情報の精度を高めるということだ。
情報にアイデンティティと共有機能を持たせれば、全てのGoogleサービスは連動する
言うまでもないことだが、Googleは検索やadwords,yotube,gmailを中心として、mapやニュース、リーダーやアナリティクス等、大量のプラットフォームを抱えている。それらのサービスの幾つかは近年UIやシステムが機能改善され、よりGoogle+と連動した形となっている。
既存のサービスがGoogle+と連動すると、いままで限りなく独立して存在していた各サービスが、Google+をハブとして繋がり、一つの巨大なネットワーク群と化す可能性がある。既存Googleプラットフォームで構築されるカレンダーやドキュメントといったパーソナルな情報や、ニュースや店舗情報、広告といったパブリックな情報が全てGoogle+上で共有されるようになり、すべての情報の収束点がGoogle+となる。
何処かのプラットフォーム上で+1された情報はGoogle+内で共有され、また”共有”されたという事実がそのユーザー(またはそのソーシャルグラフ内のユーザー全て)の嗜好理解に利用され、プラットフォーム内での情報精度を高める。一度理解された嗜好は、アカウント単位で時系列的に保存され、全てのプラットフォームで利用される。
今までのGoogleは、ユーザーの嗜好理解を” Googleアカウント”とcookieにて行なっていた。Googleアカウントやcookieによりユーザーの行動履歴(サイトの閲覧履歴や検索履歴等)を把握し、それを検索結果画面(パーソナライズ検索)やAdwords広告(行動ターゲティングやセッション単位での部分一致等)に利用してきたが、それらをより進化させユーザーに提案する情報精度を高めるために、”+1というユーザーの積極的なアクションと、ソーシャルメディア上での繋がり”を利用しようとしている。
例えば近年のGoogleは検索結果の順位付けにソーシャルメディアからの情報を指標としているし、Googleリーダーやadwords広告に+1ボタンを設置したことにより、今まで得られなかった部分からユーザーの嗜好理解に関するデータを取得可能となった。
またユーザーの嗜好理解だけではないもう一つのメリットは、発信された情報の信頼性を、今までのようなサイト単位だけではなく、ユーザー単位でも判断可能となることにある。
※例えばユーザーに有益なコンテンツを長期的に発信しているサイトAがあったとして、そのサイトの管理者が新しいサイトBを作っても、Bになんらかのメリットは無かった。今までのGoogleはサイトの信頼性を”サイト単位”で判断していたからだ。しかし今後は、サイトA,管理者のGoogle+アカウント、サイトBを連動させることにより、”有益なサイトAを運営している管理者が作成したBは同様に有益である”とGoogleが判断することが可能となる。)
Googleは既に特定のサイトとGoogle+を連動させる方法をアナウンスしており、今後そのような状況になる可能性は高いと思える。つまりユーザー単位で横断的にサイト評価をすることができ、サイトの評価指標が増える。評価指標が増えるということはそれだけ情報の精度が増す。
Googleは、Google+によって、既存プラットフォーム全ての精度を高めようとしている。そう考えるとsns界のド競合であるfacebookとは目指している場所が異なり、今後方向性の違いは顕著になるかもしれない。