webサービスが生き残るのはなぜ難しいのか?
グリーの希望退職者募集等を見ているとWEB業界の栄枯衰退の速さを感じざるおえない。世間一般ではグリーは既にオワコン化しているイメージがあるが、実は2013/06期決算の時点では、売上高1522億営業利益率31%の極めて高利益企業である。
しかし確かに有料課金収益の低下から売上高は減少し、そして営業利益率はそれ以上に顕著に下がっている。(営業利益率低下の要因として原価が特に高騰していることから、成長率を見誤って大量にエンジニアでも雇ったのだろうか。)
一方Dena等を見ていると、営業利益率自体は低下しているもののうまく売上高を伸ばして危機を乗り切っているように見える。
なぜWEBサービスは長続きしないのか?
グリーの例もそうだが、なぜwebサービスは長続きしないのか。
理由は以下3つあると考えている。
1)市場の大きな変化への対応を見誤っている
WEBの世界は日進月歩で新しいテクノロジーが生まれている。
特にソーシャル業界の場合は昨今ユーザーデバイスの変化があり極めて大きなな変化が発生した。移り変わりが激しい業界において、投資先を誤ったり、単一ビジネスに利益の大半を依存しリスクの高い経営を行っていると、大きな変化があった場合に衰退する可能性が高い。例えばソーシャル業界では前述のデバイスの変化(スマホ化)やコンプガチャ規制など、市場は大きく変化した。新しい市場であれば変化は発生する。
2)参入障壁が低いため、類似サービスが大量にできて没落する。
WEBサービスの参入障壁は決して高くはないため、景気の良い業界に類似サービスが殺到する傾向がある。
例えば下記はクーポン共同購入系サイトが日本で流行った際の新規参入サイト数を表しているが、 2010年4月Pikuがサービスを最初に開始してから何と1年半後の2011年8月までには230位上の類似サービスがローンチされた。
流行にのって大量の類似サービスが新規参入し、結局は資本力が強い大手(グルーポンとポンパレ)が生き残り大量の屍が残った。
これはWEBサービスは立ち上げの容易さ故に、極めて多くの企業が参入し、そして明確な差別性(例えば資本力やマーケ力等)がなければ衰退していくよい例ではないかと思う
3)サービスを安定的に発展させていくための組織力が弱い。
ネットベンチャーは設立年数が短い企業が多く、かつ経営陣やエンジニア以外は基本的に不要なローコスト経営をしており、中長期的な人材育成・キャリアアップの仕組みが築けていない場合が多い。そのため社員の離職率は高く、優秀な人材も育成され辛い。
社内に知識やノウハウ、PDCAを回す仕組みが上手く構築されずに、脆弱な組織力の中で満足にサービスを成長させられない例は多数あるだろう。
ではどのようにwebサービスを運営していくべきか。
そもそも競合の参入が予想される分野には、明確な差別性がある場合を除いて参入しないというのは重要だろう。ここでの差別性とは資本力やブランド、大手とのコネクション、開発力やマーケ力などのことである。
また設立年数の浅いネットベンチャーでも組織力を高めていくための努力を怠るべきではないだろう。例えば開発スピードを高めるためにフローを明確化させたり、オフショア開発したりして技術力を高める。またないがしろにされがちな教育システムや必要なスキル、キャリアパスの明確化など、上手く組織力を高めることができれば、市場の変化にも柔軟に対応する土壌が出来る可能性がある。
そしてネットベンチャーは常につきまとう事業の存続性を保つために、ローコスト経営の旨みを多少捨てても積極的に多角化しリスクヘッジしていくべきだろう。
WEBサービスは中長期的に生き残る方法を考えていく必要がある。