どのようにSEOをインハウス化していくべきか
先日クロスフィニティ社から2014年度版国内SEO市場予測 (2012-2016) が発表された。
当レポートによるとSEO市場の規模は2013年に前年比115.7%の315.4億、2014年は369億まで伸長と予測されており、外部リンクリスクの顕在化などが合ったにも関わらずにSEO市場は顕著に伸びている。予測を含めると2012年-2016年のSEO市場のCAGR(年率平均成長率)は18%となる。
今後のSEO市場では外部リンク型のSEOはリンクストックが膨大で構築に組織的なリソースを投下しているような大手に更に集約し、コンサルティング型のSEOはアイレップ社やフルスピード社ようにコンテンツ構築機能をもつケースが増加してくるだろう。
過去記事参照: 上場企業4社の取り組みから見るSEO業界のトレンド
また当レポートでは今後のSEO市場は1)コンテンツマーケティングの拡大 2)大量のキーワードを管理可能なエンタープライズ型ツールの市場拡大 が発生すると予測している。
そして現在黎明期である上記領域に関しては、現在もそうだが今後さらに顕著にインハウスでのSEO運用が拡大していくだろう。なぜかというとコンテンツの企画や構築、そしてエンタープライズ型ツールによる大量のキーワードの管理などは単純にSEO業者単体で実施できるものではなく、SEO実施企業の組織力や組織的なリソース投下、ビジネスモデルの特徴なども重要なファクターになってくるからだ。
SEO業者は様々なウェブデータから合理的なコンテンツ構築の方向性を提示できたり、当たり障りのないコンテンツを安価に提供したりすることは出来ても、コンテンツを実施企業のビジネスモデル上の強みを活かし作りこんだり、実施企業の各チームに働きかけてSEO運用方法や効果検証方法を整備したり、効果を客観的にレビューして組織に運用ルールを組み込んで行ったりするのは困難である。それらはあくまで実施企業自身の課題なのだ。
SEO実施企業はインハウスSEO組織の強化に力をいれていく必要がある。この業界で仕事をしている体感としても様々な業界のプレイヤーは着実にインハウス化していっている。
そしてその場合のSEO業者はコンテンツの分析や作成、教育などの限定的なパートナーへシフトしていくだろう。
SEOをインハウス化していくためのフロー
では具体的に組織でSEOをインハウス化するためにはどのような手順に従えばよいのだろうか。以下一般的なフローをチャート化している。
1.実施前
インハウスSEOを取り組む場合、最初に課題になることは、いかに組織にSEOを啓蒙できるかにある。
SEOは実施するために様々なチームのリソースを使う必要がある点、効果がでるまで中長期的な視点を持たなければならない点、効果の事前シミュレーションが困難な点、トライ&エラー前提で実施する必要がある点など、問題点が多々あり組織的な理解がなければ実施は極めて難しい。
実施前に組織を啓蒙してSEOの舵を取らせること、また実施後に適切に結果を組織内にレビューしてSEOへの意識を高めていくことはインハウスのSEO実施する場合の重要な要素になる。また啓蒙と同時に自社のSEOの取り組む範囲と、SEO企業とのパートナーの範囲(SEOのどの領域を業者に任せるのか)を定義する必要がある。
2.実施中
実施フェーズにも課題は多い。特に重要な考え方としてSEOはベストな方法論がないため、トライ&エラーで実施し効果を適切にレビューしていく必要がある。結果がレビューできる最小単位のサンプル数で施策を反映させ、そこから更にスケール化させていく。SEOに取り組むための適切な知識と進め方のスタンス、適切にPDCAを回すための組織的な仕組みを構築し実施していく必要がある。
多く場合このフェーズでは様々な社内チーム(開発、企画、デザイン等)との調整を行い彼らのリソース確保していく必要がある。
3.実施後
実施後には再度組織的に結果を共有し、啓蒙していく。そうすればおのずとSEO意識の高い企業になっていく。また自社に適した戦略をSEO実施状況からメソドロジー化(抽象化し方法論に落とし込む)し、マニュアルとしてアウトプットさせ、SEOメンバー以外も日常的にSEOを実施するような組織構造を形作っていく。
上記の通りSEOをインハウス化させるために特に重要なのは組織と仕組みの整備である。これは単純なSEOのノウハウがあれば出来るという話ではなく、経営者含め社内のメンバーの理解を得て、ある程度中長期的(2-3年程度)のスパンを想定し徐々に形作っていく必要があるだろう。
ここまでのまとめ
・SEO市場はCAGR18%で増加しており、特に1)コンテンツマーケティングの拡大 2)大量のキーワードを管理可能なエンタープライズ型ツールの市場拡大が予想されている。
・SEO実施企業は効果的なSEOを行うためにインハウス組織の強化に力をいれていく必要がある。SEO業者との関係性は限定的なものにシフトしていく。
・SEOをインハウス化させるために特に重要なのは組織と仕組みの整備である。これらはある程度中長期的(2-3年程度)のスパンを想定し徐々に形作っていく必要がある。
弊社ではSEOのインハウス化支援のサポート・コンサルティングを行っております。
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