総合EC業界のSEOを徹底解剖する
今回は日本の総合EC業界におけるSEOの状態を徹底的に解剖したい。
まずは日本のEC市場の全体像だが、一言でいうと年々高い割合で成長していているが、まだまだ成長の余地がある状態である。現在EC市場規模は年平均12%で成長して2012年には9.5兆円の市場になっている。小売業界に占めるECでの購入率は現在3.1%でありまだまだ拡大する余地がある。
成長しているEC業界の中で総合的に商品を扱っているプレイヤーの売上高上位5位は以下になる。国内ではアマゾンジャパンの売上高が最も高く6200億円の一人勝ち状態となっている。アマゾンジャパンの次は、ベルメゾン、ニッセン、ディノス、セシール、QVC等のサイトが続く状態である。
今回は上記「総合EC市場」で売上高上位5社プレイヤーのSEO状態を分析したい。
総合EC上位プレイヤーのSEO状態
まずは上位5社(代表的な6サイト)のサイト規模(インデックス数)を比較すると、アマゾンジャパンが飛び抜けてgoogleからインデックスされていることが分かる。
次のチャートでは具体的な商品名のキーワード472での順位分布状態を5社(6サイト)で比較している。(472キーワードの中で1-5位, 6-10位, 11-30位, 31-50位, 51-100位, 101-200位のキーワードがそれぞれ何%を占めているのかを比較している。)
商品名キーワードに関しては公平性を保つためにモール型サイトのYahooショッピングから、全てのECサイトが扱っているファッション、生活雑貨、インテリア、ダイエット・健康カテゴリのキーワードを抽出している。
チャートを見るとアマゾンジャパンの圧倒的なSEO面での強さが分かる。サイト規模が競合他社よりも2ケタ大きく、かつ商品名でのキーワードの約46%が1-5位を占めていることが分かる。
アマゾン以外のサイトは101-200位以降のエリアの割合が最も高いが、アマゾンジャパンは101-200位以降のエリアが1.5%程度しか存在しない。アマゾンはサイト規模が圧倒的で商品単位の上位表示率も圧倒的だ。
アマゾンジャパンは商品の網羅性という視点だけではなく、様々なキーワードでも上位表示を達成しているモンスターサイトだということが分かる。
アマゾンジャパンが日本のEC市場の中で圧倒的な売上高を誇っている理由がよく分かる結果となった。
またその他気がつく点として、売上高の大きい企業ほど順位分布のパフォーマンスが高い。
売上高と検索エンジンでの露出は相関関係がある。(恐らく商品点数の多さやサイト改善への投資額などが反映しているものだと考えられる)
なぜアマゾンはここまでSEOが強いのか?
アマゾンジャパンのSEOが優れている理由を下記にまとめてみた。
アマゾンジャパンを振り返るとマーケティング的な視点と技術的な視点を合わせてSEOを高めていっている。SEOはユーザビリティの向上とセットになり実施されていることが分かる。
例えば商品詳細ページにて関連商品や合わせて購入する商品へリンクをつけることにより、ビジネス的にはユーザーの購入単価が上がるメリット、ユーザーには商品発見のメリット、SEO的には内部リンクの充実のメリットがある。
このような戦略はGoogleにも好意的に映るだろう。まさにGoogleの考えるSEOを体現しているのがアマゾンだと思える。
アマゾンの圧倒的なSEOから学べるポイント
1)ユーザビリティの追求はSEOも同時に高めていく。SEOはユーザビリティとセットで考える。
2)CGMコンテンツやシステム的ページを構築しSEOをスケール化させる。
3)適切に検索エンジンの仕組みを理解して技術的にも最適な形にする。
アマゾンの戦略を学び中長期的なSEO戦略を考えていく必要がある。